大判例

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広島地方裁判所福山支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人森川源太郎を懲役十月に、被告人松岡庄一を懲役十月及び判示第二の(一)の事実に付罰金二千円に、判示第二の(二)の事実に付罰金千円に処する。

被告人松岡庄一に於て右各罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

但し被告人両名に対しては本裁判確定の日から三年間右各懲役及び罰金刑の執行を猶予する。

押収に係る二番葉葉たばこ二百八十八枚は之を没収する。

訴訟費用中証人岩中清雄に支給した分は被告人松岡庄一の負担としその余は全部被告人両名の連帯負担とする。

理由

第一  被告人森川源太郎同松岡庄一は共謀の上昭和二十四年二月五日芦品郡府中町広島司法事務局府中出張所に於て、すでに芦品郡岩谷村大字父石高橋潔が右森川より譲渡を受け、同所字森谷二百二十四番地の十二、同十三、同十四の宅地計六十一坪及びその地上にある木造瓦葺二階建居宅一棟(建坪階下十八坪七合五勺、階上十七坪五合)並びに附属木造瓦葺二階建倉庫一棟(建坪階上階下各五坪)の所有権を取得していた事実を知りながら、その頃右各不動産が登記簿上右森川の所有名義にして第三者に対し有効に処分し得べき状態に在つたのを奇貨とし、ほしいままに右森川の右松岡に対する金二万八千円の債務につき該不動産を以て代物弁済することとして、これが所有権を右松岡名義に移転登記を完了し、以てこれを横領し

第二  被告人松岡庄一は昭和二十四年度日本専売公社の許可を得た葉たばこ耕作者であるところ

(一)同年九月頃同人耕作の圃地に於て日本専売公社の許可を受けないで二番葉葉たばこ二百八十八枚を収穫し

(二)同月四日肩書自宅に於て日本専売公社府中支局専売監視小野利夫同槇良林が蔵置場の検査を求めるや故なく之を拒ん

だものである。

(証拠説明は省略する。)

法律に照すと被告人森川源太郎の判示所為は刑法第二百五十二条第一項第六十条に該当するから其の所定刑期範囲内に於て同被告人を懲役十月に処すべく、被告人松岡庄一の判示所為中横領の点は同法第二百五十二条第一項第六十条第六十五条第一項に、判示第二の(一)のたばこ専売法違反の点は同法第七十三条第六号第十七条第二項罰金等臨法措置法第二条に、判示第二の(二)のたばこ専売法違反の点は同法第七十四条第七号第六十九条罰金等臨時措置法第二条に該当するところ、以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから、横領罪についてはその所定刑期範囲内に於て、たばこ専売法違反罪については同法第七十八条により刑法第四十八条第二項の適用がないから、各罪につき所定罰金額の範囲内に於て、なお刑法第四十八条第一項をも適用し、同被告人を懲役十月及び判示第二の(一)の事実に付罰金二千円に、判示第二の(二)の事実に付罰金千円に処し、同被告人に於て右各罰金を完納することができないときは刑法第十八条に依り金二百円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置すべく、なお被告人両名に対しては情状懲役刑及び罰金刑の執行を猶予するを相当と認めるから同法第二十五条罰金等臨時措置法第六条に依り本裁判確定の日から三年間右各懲役及び罰金刑の執行を猶予すべく、押収に係る二番葉葉たばこ二百八十八枚は本件たばこ専売法第七十三条第六号(判示第二の(一))の犯罪に係る葉たばこであつて他に右物件の所有者がないから同法第七十五条に依り之を没収し、訴訟費用中証人岩中清雄に支給した分は刑事訴訟法第八十一条第一項に則り被告人松岡庄一をして之を負担せしめ、其の余は同法第百八十二条第百八十一条第一項に則り全部被告人両名をして連帯して之を負担せしむべきものとする。

仍て主文の如く判決する。(昭和二五年五月一六日広島地方裁判所福山支部)

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